―説明―



僕らは言の葉を繋げる、企画者の結月てでぃです。
まずは、押してくださってありがとうございます。

ギールのアイコンを押して入ってこられたと思いますが、これは城崎様から頂きました。
…城崎様が描かれた争奪編公開イラストにリスティーの頭の上らへんにもいます。
二人でギール! ギール! と大爆笑していたら、アイコンを作成してくれました。
しかし、拍手アイコンにしてはちょっと大きい。
でも、使わないのも勿体ないじゃないですか。
どこに使うか、じーっと眺めている間に小話を思い付きましたので、それへの扉アイコンにしようかと思いまして。

争奪編の続きの話になっています。ほんの少しだけネタバレしています。
何も考えずに書いたので、少し長いです。
なので、もし聴いていないという方は、ご注意ください。



それでは、この下からどうぞ。





−小話−

「アーマー、お疲れ様」
「いえ」
アーマーはふるふると頭を振った後、はーっと溜め息を吐く。
「どしたの?」
「別に何もありません」
ほうっと、手を頬につける。
「…え、本当にどうしたの…?」
エドワードがその様子に戸惑っていると、周りにいた軍人が半笑いで声を出した。
「茶軍曹はエディス准将に会った後はいっつもあんな感じだぞ」
「だーいすきだもんな、准将」
意地汚く笑う大人を背中に放置し、エドワードはアーマーに小走りで寄る。
「ど、どうだったの?」
「一位になりましたが、何か」
ぐるっとアーマーが振り返った。
「い、一位になったわりには機嫌悪いね…」
自分よりも迫力のある姿にエドワードは両手を胸らへんまで上げる。
「所詮は勝負ですもの」
「へっ?」
「勝ったからといって、エディス准将様が私のことを好きになってくださるわけではありませんもの」
「そうなの?! って、そうだよね」
相手はアレなのだ。それはないだろう。
「そうです。…それに、エディス様の一番はもう決まっていらっしゃいますし」
「ええー、それはない、ない」
手を振って笑うと、またため息が返ってきた。
「…だから、子どもだと言われるのですよ」
「アーマー今日すっごく機嫌悪いぃー!」
半泣きで言っても、ため息だけしか返ってこない。
「…にっ、兄さんの馬鹿ー!!」

「おい、いつまでやってんだ」
「エディー」
にょっと逆さまの顔が覗く。
「なんだ。まだしょげてんのか」
ふうっと頭を戻して、それからエディスが腰に手を当てる。
「まあね」
「なんでお前、逃げなかったんだ」
「俺ごときが軍人から逃げられると思う?」
笑うと、それを見たエディスが口を開け、豪快に笑う。
「よく言うぜ! 郵便局員さんよ!」
バシッと背中を叩く。
「あ、酷い! そんなに笑う?!」
「だって、さ、前にお前と勝負した時のミシアの顔思い出したら…っ」
「あれは忘れて、ってば」
ぐでーっと額に手をやって、微かに唇に笑みを浮かべる。
「ま、お疲れ」
頭に手を置かれ、ぐしゃりと髪を乱される。
「エディス准将ー、どこにおられますかー?」
野太い声が呼ぶ。
「どうした!」
エディスから表情が掻き消える。
「悪い、俺行くか…っ」
立って、そっちに走って行こうとするのを止めるために肩を掴む。
「君のために、たとえ世界を失っても…世界のために君を失いたくは、ない」
背中に手を回して、きちんと抱く。
しばらく、軍人の硬い靴音や遠くから来る小さな声だけが響いた。
「…に、似合わねー」
ぼつりと、左肩に左頬をのせていたエディスが呟いた。
「言うと思った。で、何点?」
「さっきの時にそれ言ったら、ってことだよな」
「うん」
ふーっとエディスが息を吐く。
「選外」
「うわ」
離すと、すぐに立つ。
「んなに簡単に落ちっかよ、バーカ」
忙しーんだよ、こっちは! と走って行く。
でも、すぐに黒いコートを翻し、俺を見る。
「…それに、お前は順位なんて関係ねーんだよ!」
今日は帰る! と笑って。
そうしてエディスが去った後、
「人間磁石」
ぐったりと廊下の壁に背を預けてしまう。なんか、燃え尽きた。
「准将、何か嬉しいことでも?」
「んー、べっつに」
だけど、遠くから聞こえる声には甘く。
「…買い物でもしてから、帰るか」
選外の俺は、家で誰かさんと一緒にお味噌汁でも作って。
それから、帰ってきた君を出迎えようと思う。